税理士法人ミチ・ツナグの代表税理士。行政書士の資格も持っている。
事務所に続き自宅も新築してウキウキ。
相続のことを勉強中の新人。
最近はじめての後輩ができてウキウキ。
それじゃあ今回は、遺言書について勉強していこうか。
はい、お願いします!
サザエさんの磯野家の、波平さんが亡くなった場合を例にして教えていただいていましたね。
前回は確か、お婿さんのマスオさんや孫のタラちゃんは、普通にしてたら波平さんの遺産を受け継ぐことはできないってお話でしたよね?
そうだったね。
波平さんの相続人になるのは、妻のフネさんと、子供のサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんなんだ。
波平さんと血のつながりのないマスオさんと、孫であるタラちゃんは、この場合は相続権がないんだよね。
たしか、波平さんが相続人以外の人に遺産を相続させたい場合は、遺言書というものを作っておけばマスオさんやタラちゃんへも遺産を渡すことができるんでしたね
よく覚えていたね!
今回は、その遺言書について教えていくよ。
そもそも遺言書とは、財産を所有する人が、自分の死後に財産をどう分けるのかの意思を書き記した書面のことなんだ。
遺言書にはいくつか種類があって、主にこの3種類だね。
自筆証書遺言:自分で手書きし、署名・押印をするもの。作成は簡単だが形式ミスがあると無効になる可能性がある。
公正証書遺言:公証役場で作成し、公証人が関与するため確実で安全。争いを防ぎやすいのがメリット。
秘密証書遺言:内容を秘密にしつつ、公証役場で証明を受ける方式。あまり一般的ではない。
『遺言書』というものはドラマなんかで見たことありましたけど、作成方法や利用方法などで種類が違うってことは初めて知りました!
実際に作ろうと思った時にオススメなのは、公正証書遺言だね。
費用は掛かるけど公証人と呼ばれる専門家に作成してもらうから遺言書が無効になる可能性が低いし、遺言書の原本も公証役場という場所に保管されるから安全だしね。
なるほど…。
でも、波平さんの財産をマスオさんやタラちゃんに残したい場合、どうしてその遺言書が必要なんですか?
前回、波平さんの遺産は相続人…今回だと配偶者や子供たちが相続するのが基本だと教えたね。
だけど遺言書ではそういった決まりは関係なく、波平さんの意思を書くことができるんだ。
だから、本来なら相続権のないマスオさんやタラちゃんに自分の財産を渡したい旨を書き残しておけるし、実際に亡くなってからの遺産分配でも、遺言書が存在すればその内容が優先されるんだよ。
ちなみに、遺言書によって相続人じゃないけど遺産を受け取る人のことを受遺者(じゅいしゃ)と呼ぶんだ。
遺言書の力ってすごいんですね!
でも…内容によっては、遺言書で決められた分配だと不満をもつ人とか出てきそうじゃないですか?
例えば、カツオくんなんかは自分が貰える予定だった財産が減るなら文句を言いそうなイメージですが…
ははは、実際に遺言書が原因でトラブルが起こることもあるだろうね…。
ちなみに、相続人と受遺者の全員が同意している場合なら、例え遺言書があったとしても、遺言書の内容で分配しなくても良いということにもなっているよ。
あとは、形式ミスやその他の理由で遺言書自体が無効と判断された場合とかもね。
良かれと思って書いた遺言書で、残された家族達が揉めちゃったら波平さんも悲しいでしょうね…。
遺言書は他にも、そういう残された家族が揉めないために作るケースも多いよ。
例えば亡くなった波平さんが遺言書を残していなかった場合、波平さんの遺産は相続人達の間でどのように分配するかを話し合って決めることになるんだ。
でも、いくら分配する割合の指針があるからといっても、財産は現金だけじゃないからね。誰がどのように分けるのか、話がまとまらない事だってあるんだ。
あぁ、例えばお年寄りのフネさんが多くの財産をずっと管理し続けていくのは難しいかもしれませんし、噂では一等地と言われるあの大きな家を誰が継ぐのか…なんて話も、何も決まってなければ揉めるかもしれませんね。
そうだね。
そんな時に、遺言書で「家はカツオに継がせ、その代わりフネを終生住まわせて世話をすること。」なんて残しておけば、波平さんの意思を知れて話し合いがスムーズになるかもしれないよね。
財産がたくさんある場合なんかは特に、遺言書でどのように分けると決めておけば、その後の話し合いや手続きなんかもスムーズにいくことが多いんだ。
なるほど、遺言書ってとても大事なんですね!
その通り!
遺言書は「残された家族のための最後の手紙」とも言われているよ。
『終活』という言葉もあるし、残される家族のことを考えて、遺言書の大切さを意識してみよう!